薄い皮をめくる

洋楽、ジャズ、渋谷系、アニソンを好んで聴く学生の音楽レビューや日常を綴るブログ。

【感想】山下達郎Performance 2017 NHKホール 5/11

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山下達郎のライブツアー Performance 2017も後一か月弱で全49公演の全日程を終えます。
50公演目として氣志團万博の2日目への出演もきまり、
まだまだライブ熱は延長しそうです。
ちなみに氣志團万博も観に行く予定です。

 さて、本題に入りますが
この記事は5/11にNHKホールで行われた
山下達郎のライブ終了直後に書いたものを
今更になって公開したものです。
当時の興奮状態のまま書かれた文章なので(ほんの少しだけ加筆はしました)、
自分の感想とライブの様子を俯瞰した場面が少し入り組んでいたり、
敬称等の差異によって少々文章としては読み辛い、
表現として稚拙な所があると思います。
ただ、この記事は忘備録の意味合いが強いので
その時書いた新鮮な感想、記憶を留めておく為にも
敢えてあまり修正等はしておりません。
そこの所はご了承ください。
山下氏本人のMCも記録していますが、
これはほぼ正しいと思います。

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画像はNHKホールの外観と会場内にあった
ポスター、SSBのフラスタ、物販の品書き。
会場には開演から約2.5時間前から並んでいたのですが、
既に60人程度並んでいたのでガチ勢の
行動の速さに関心。
会場に着いた当初ににわか雨が降りだし、
屋外待機に一抹の不安を覚えたのですが、
すぐに止んで画像の通りの晴れになったので一安心。
物販ではツアーパンフレットと、
CM全集、
メジャーデビュー前の自主製作盤ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY
を購入。
手持ちの水を一口飲み、意気揚々と場内へ。

※ここからは本編のネタバレになります。
 
 ネタバレOKの方はここから閲覧してください。

ステージは50年代のNY風で両脇に
BARやホテルの様な建物があり、その全ぽに高架橋線路、
向こう側には海とNYらしきビル群が見える。
というデザインでした。

開演前まではCD化がされていない様な
山下達郎本人選曲のオールディーズソングが流れ続ける。
そして曲が止まると共に会場が暗転し、開演の時を迎える。


開演を告げるオープニングSEはポケットミュージックのラスサビ多重録音部のアカペラ。
少し時期はズレているが、
1986年発売のPOCKET MUSICの30th記念を意識したのだろう。

徐々にバックバンドのメンバーが上手下手から続々と入場。
一足遅れて山下達郎も。
少し客に手を振ってみせる。

後ろを振り返り前を見た瞬間に御馴染みのカッティングが。

SPARKLE。

この曲は長年のファンや新参者問わず人気の高い曲で、
このギターカッティングを聴く為にライブに何度も通う人もいるとか。

かつてサンデーソングブックで聴いた2009,2012年の同曲のライブ音源、
嘗て実際に生で聴いた時よりも声の出方は良かった。
何よりも感動したのがコーラスの一新により、
ラストのコーラス部分に
CD音源並みの開放感が戻ったことである(勿論今までのも嫌いではないし好きです)。

「こんばんはNHK!一年振り!今回もよろしく!」と言う言葉に続いて
伊藤広規の重いベース音からRIDE ON TIMEの一曲目に収録されている

“いつか”

この曲は近年ライブの後半に持って来るとが多い上、
披露する回数自体少ない為ややレアな曲に対面できたと云う幸福感に包まれた。
原曲に忠実な進行やキーボードソロを聴きながらベースとドラムの音圧を体で感じる。


「今年はライブ再開後に演った曲で出来の良かった曲をメインにしてみました。
イイトコどりですw」と言いながら始まるのはドーナツ・ソング。
ライブで実際に聴いてみると非常にファンキーな仕上がりになっている。
メインの歌に入ると思いきや、
五月の童謡である“茶摘み”をワンフレーズ歌っておどけてみせた(数年前の三月に観た際は“春よ来い”)。
この歌では会場の各フロアに手拍子を促す。
ここで演者と観客の距離は一気に縮まる。

この曲を終えた後、
「自分は「夏だ、海だ、達郎だ」と言う風に言われていたが"あの"一曲で冬男になってしまった。
ここで最近の夏の曲を」と自嘲気味に言いつつ、
アコギに持ち替えて“僕らの夏の夢”。
ここで涙を流す客もチラホラ。

曲の終わりに暗転、
そこから間髪れずにアコギに持ち替えて“風の回廊”。
最低限の青白い照明が舞台にいるメンバーを柔らかに映し出し
曲の持つ神秘性、抽象性を増長させる。

「ライブをしていない時は他の人に曲を提供したりしてきました。
その時自分は職業作曲家として曲を書きました。職
業作曲家は自分が歌えない、依頼人が一番光るものを書けてホンモノだと思います。
そんな風に自分にどうしても合わない曲が有るのですが、
歳をとってくると、そう言うのはどうでも良くなる」
と言う趣旨のことを話し、鈴木雅之に提供したGUILTY をセルフカバー。
佐橋佳幸氏がギターソロでかなり動いていたのが特に印象的だった。
照明はこの時が一番真っ赤な染まり方をしていた。

曲が終わった後すぐに右手側にあるエレピの位置につき、
難波氏とのダブルピアノからFUTARIへ。
後半の盛り上げ前に難波氏のプログレチックな演奏が炸裂する。

そのままほぼシームレスで古参ファンから評価の高い潮騒
引き続き達郎氏はエレピを演奏。
宮里陽太氏のサックスソロがラストに炸裂。
個人的に宮里陽太氏に言及すればアルバムを所有する位好きな人なので、
こう言うところでも演奏をじっくり堪能できるのは非常に美味しかった。

ここで一度、山下達郎伊藤広規難波弘之のみがステージに留まり他のメンバーは舞台袖へ掃けた。
「こんな大きいホールで3人編成やるのは人生初ですw」と苦笑しながら山下氏は語った。
この3人編成は全員23区の城北エリア出身ということで“城北トリオ”と称されている。

「人柄が合うかどうかはともかく、
この3人でやると普段の編成でやるよりもより良い出来になる曲がある」と言い、
ターナーの汽鑵車を演奏した。
この演奏は昨年の新宿ロフトで敢行したアンプラグドライブと同じである。
600人限定のプレミアムライブの擬似体験をすることが出来た。

「ロフトでのライブに対する応募は6万人だったそうです。
マネージャーから“東京ドームでライブ出来ますよ!”と言われましたが、
絶対にそんな所ではやりませんw
こういう人間は音楽的には金にならないんですよw」

この曲の前後どちらで話していたか忘れてしまったが、
この様な趣旨の内容をややおどけながら話していた。

「若い頃は誰も知らないような曲をカバーして“どやっ?”て感じで客と闘っているような感じでしたし、
客も同じ様に腕を組みながらこちらの出してくるものに挑戦する形になっていましたが、
最近はお互い歳を取ったせいか、その様なこともなくなりましたねw 」

「東京の方には馴染みがあると思います。
私とカラオケに来たつもりで聴いてください。」と始めたのがTom JonesのIt's Not Unusual。
ハンドマイクを持ちながら歌唱していた。
ワザとらしく格好つけた達郎氏の格好は少し面白かった(褒めています)。

有名曲カバーを終え、また達郎氏のMCが入る。
「本当は今年のツアー前にPOCKET MUSICのリマスター盤、ミニアルバムを出したかったんですけど、
その前に貰った曲書きの依頼が非常に難しくて何度と曲や詩の入れ替え…で難航した結果、
どうも上手くいきませんでした(苦笑)。
死生観についての曲を書きました。映画に使用される予定です。」


「この曲は中曽根総理が不沈空母発言をしたことに衝撃を受けた結果、生まれた曲です。
反戦歌というわけではありません。政情不安に対する諦念を歌った曲です。
たまに政治的活動に従事するミュージシャンがいたりしますが、
音楽屋が政治やってどうするの。
音楽屋は音楽で自分の気持ちを伝えるべきです。
ではこの曲を、THE WAR SONG」

自分の音楽と政治との関わらせ方等についてのMCを終えた途端、
シンセサイザーの音が鳴り響き、THE WAR SONGが重い音で会場を包む。
「僕はどうすれば良い」と言うフレーズを強く歌う達郎氏の姿から政情不安により抱く漠然とした不安感、
同様の想いを持った人たちに寄り添う姿勢が垣間見えた様に思う。


ここでシリアスな空気から一転し、
山下達郎のライブではお馴染みの多重録音カラオケコーナーに入る。

「僕がON THE STREET CORNERをやる前は当時の洋楽ファン(80年代)“ドゥーワップ?なにそれ?”みたいな感じでした。
今回は分かりやすいのを。」

このカラオケコーナーではSO MUCH IN LOVEとSTAND BY MEを披露。


STAND BY ME終了後、ステージは暗転しJOY TO THE WORLDのアカペラが流れる。
冬を連想させる青白いライトがほのかにスーテージを照らし、誰もが知るあのイントロが流れた。
クリスマス・イブは山下達郎自身が忌み嫌う録音の音源を流用する数少ない曲のうちの1つだ。
間奏の多重録音だけは大規模コーラス隊等でも再現できない。
雪の結晶やクリスマスのオーナメントを形取った模様がスーテージセットに映し出されており、
クリスマス感を更に醸成する。

ほぼノンストップで、久し振りにあの名曲のイントロが流れる。

2008-09年のツアー再開時振りの蒼氓だ。
ここ数年は“希望という名の光”に今までの役割を取って代わられていたが、
アルバム“僕の中の少年”のアニバーサリイヤーに近いから久し振りに採用されたのだろう。
(龍が如くのテーマソングになったという点も大きいでしょう。)

CD音源よりも抑揚のある歌い方、
優しい歌声が自分の心の中にある傷のようなものを取り出して修繕してくれている様な感覚。
間奏の佐橋佳幸氏のギターソロも長めで、
日本でもトップクラスの彼の演奏を十分に堪能することができた。

“憧れや名誉はいらない”

“華やかな夢も欲しくない”

彼の人生における心情を綴った詩は、
普段全くといっても良い程歌詞を気にしない自分にでさえ刺さってくるものがある。

後半にはフェイクでCurtis Mayfield のPeople Get Ready、希望という名の光を歌唱。

蒼氓という誇大妄想的なまでに壮大なゴスペル調の曲を終えた後、
また間髪入れずにピアノの音がなる。

Get Back In Love
をここで披露した。

代表的なバラードを三曲連続で歌い上げた後、再びMCに入る。

「お互い歳をとってきて、
最近は“ライブの時間を短くしてくれ”、
“トイレ休憩の時間を作ってくれ”という要望も出るようになりました。」

「ライブの時間を短くしよう。三時間以下に収めようと思って今回のツアーは始めましたが、
今まで一度も3時間を切ったことがございませんw
自分のやりたいことを全てやろうとするとどうしても無理なのです。
僕のようなシャウターは、いずれ長時間の歌唱が厳しくなります。
どうせその時が来るなら、
その時までこのスタンス(今まで通りの)でやろうかと思います。」

自分の歌手としての寿命を意識し、
出来るところまで自分のスタンスを崩さないという主張をここで示した。

「80年代のお客さんはOL1年目の方だったり、
大学生の若者だったりしました。
僕のスタンスとして
ライブの一曲目で席を立ち上がられたらそこでライブを止めるという方針だったので、
それについての不満も当時は耳にしていたのですが、
今になってそれで良かったと思うでしょw?」

「ライブも佳境に入って来ると、歌え呑め踊れじゃないけどw 皆さんもそれなりに騒いでいましたよね?
今からはそんな若い頃を思い出して貰いましょうか。
それでは最後くらいお賑やかしを…」

といった途端にステージが暗転し、伊藤広規氏のベースが唸る。
彼の代表的ファンクチューンのメリー・ゴー・ラウンド。
この曲の時点で観客の大半が立ち上がった。

所々に、軽く踊る人も現れる。
この時から、会場は幾分かディスコの様相も持ち合わせはじめ、会場のボルテージは上昇。
後半のドラム、ベースソロでは歓声が上がる。

ここからシームレスで(JOYと同じ流れ)でLET'S DANCE BABY。
この曲の時点で会場は総立ち状態に。
お馴染みの

“心臓に \パンッ(観客たちの鳴らすクラッカー音)/指鉄砲"

という演者と観客のコミュニケーションを体感。

後半のフェイクではEddie Cochran のSummertime Blues や、
愛を描いて-LET'S KISS THE SUN-、
新曲のCHEER UP THE SUMMER、
踊ろよフィッシュ等を歌った。
ラストはやはりRoy OrbisonバージョンのMean Woman Blues。

そのまま間髪入れずにあの曲のコーラスイントロが流れた。
“夏だ、海だ、達郎だ”と呼ばれていた時代の山下達郎の曲の中でもトップクラスの人気を誇る

“高気圧ガール”。

ここで会場の空気は最高潮に。
かなりこぶしを効かせて歌うので、
そういう所もちょっとおかしいな、と思いながら聴いてみたり。

ラストの曲の前に
「お互い歳を取り、健康面や社会等に不安を抱く事もあると思いますが、
僕のライブで少しでも息抜きしてくれたら嬉しいです。
これからもお互い良い年の重ね方をしましょう。」

と本編ラストのCIRCUS TOWN。
特に後半のフェイクは声量、声の伸び共に本当に64歳の老人が歌っているのか疑わしく思えてくるほどであった。


一度全員が掃け、舞台が暗転して暫く達郎コールが会場全体にこだまする。

間も無く青と白のチェックシャツに着替えた達郎とバンドメンバーが再び定位置につく。

「先程も言った通り、他の人に提供した曲で自分には合わない曲があるのですが、
もうそういうのはどうでも良くなりました。
次の曲は座って聴くような曲じゃないです。」

と、近藤真彦の“ハイティー・ブギ”を演奏。

山下達郎近藤真彦の歌唱の得意不得意な所を
徹底的に研究してこの曲を構築したと前々から何度も語られてきた曲がとうとう披露された。

ギターの音がよく歪んでおり、
ライブ内でもかなりお賑やかしの様相を帯びていた。

このままノンストップでRIDE ON TIME

本曲ラストで達郎はスーテージ最奥部まで行き、
マイク無しでアカペラをやってみせた。
驚く程鮮明に聴こえて来た。これは爺さんの業じゃないと思った。
凄すぎたので思わず笑みを浮かべてしまった(笑)。

「マネージャーからSNSでのライブの反応をたまに聞くのですが、
我々の孫世代の人達は“こんなに老人の多いライブは初めてだ”と言うそうなのです。
でも、20-30年経てばあなた方もそうなるんですよw!」と言って会場を沸かせた。

「お互い良い歳の重ね方をして行きましょう」

ともう一度念を押して言った後にTHE THEME FROM BIG WAVE 。

「それでは皆さんお気をつけておかえりください。本日はありがとうございました。」

と、お馴染みのYOUR EYESでライブは締めくくられた。

セットリスト
1.SPARKLE
2.いつか
3.ドーナツ・ソング
4.僕らの夏の夢
5.風の回廊(コリドー)
6.GUILTY(鈴木雅之セルフカバー)
7.FUTARI
8.潮騒
9.ターナーの汽罐車
10.It's Not Unusual(Tome Jones's cover)
11.THE WAR SONG
12.SO MUCH IN LOVE(a cappella)
13.STAND BY ME(a cappella)
14.クリスマス・イブ
15.蒼氓
16.GET BACK IN LOVE
17.メリー・ゴー・ラウンド
18.LET'S DANCE BABY
19.高気圧ガール
20.CIRCUS TOWN
21. ハイティーン・ブギ(近藤真彦セルフカバー)
22.RIDE ON TIME
23.THE THEME FROM BIG WAVE ※
24.YOUR EYES
※日にちによってDOWN TOWNや
パレードになる事もあったそうです。
次の日の5/12では23と24の間にLAST STEPを引き語りで演奏しました。